| Happy Birthday！まどか！ |  |
|
ホンマにええんやろか？
あいつをオレのものにしても……。
あいつは後悔しないんやろか……。
それよりも……。
オレには秘密があんねん。
本当のオレを知っても、
あいつは引いたりせんやろか？
約束の日……当日
6月18日。今日はオレの19回目の誕生日や。
去年も一昨年もその前もあいつはオレの誕生日を祝ってくれた。
今年もそれは同じやけど、全然違う！
あいつ、がオレの彼女になってからは初めての誕生日や。
しかも今日は……。
先々週、はオレに言うたんや。
「再来週のまどかの誕生日に、私を貰ってくれる？」
真っ赤になって、でも、オレの不安なんてかき消すように……。
「Happy Birthday!! 姫条君！」
ほら、ロウソク消して、消して！とにこにこ顔で言う。
オレは、ちょっと大袈裟に息吸って、一気に火を消す。
「19歳、おめでとう！」
パチパチパチ！ホンマに嬉しそうなが横におる。
ロウソクの火が消え、真っ暗になった部屋。
が部屋の電気を付ける為に立ち上がろうとした。
オレは、その手を引っ張り、膝に座らせ、後ろから抱きしめる。
「き、姫条君？」
「…………。」
なぁ。今日ホンマにええんか？？
「姫条君？どうしたの？？」
が振り返ろうとするのを阻止するように、抱きしめる腕に力を入れる。
「料理、冷めちゃうよ？？」
がちょっと体を強張らせているのが分かる。
怖いんや。。
「姫条君？」
心配そうなの声。
その頬にチュッと軽いキスをし、
「ほな。の手料理、ごちそうになろか？」
オレはを離し、立ち上がって明かりをつけた。
真っ赤になってる。でもその瞳は心配そうにオレを見ている。
すまん。オレは意気地なしやな。
「美味しかったわ。ごちそーさん！」
「お粗末さまでした。」
の手料理との手作りバースデーケーキを食べ終え、
ほな、エスプレッソでも入れましょう！とオレはキッチンに立つ。
食べ終わった食器を持って、も一緒に着いて来た。
が楽しそうに洗い物をしている隣で、オレはコーヒーを淹れる。
どっちかというと幼い雰囲気がある……。
ホンマにええんやろか？
「やっぱり、姫条君のエスプレッソ、美味しいよね！」
隣に座り、にこにこ顔でコーヒーを飲んでいる。
なんでそんなに落ち着いてるんや？
オレは何時どういうタイミングで、切り出していいのか分からん。
アルコールでも入ってたら、酔いに任せることも出来た。
でもそんなん、絶対にちゃうから。
どうしたらええんや？
たわいない話をした……と思う。正直あんまり覚えてへん。
緊張……してるんやな。。オレ。。
時計が21時を過ぎた。
帰すなら今や。の門限は22時や。
その事にも気づいたのか、ふと会話が止まる。
オレはどないしていいのか、分からず、しばし沈黙の後。
「ほな、。送っていこか？帰るやろ？」
パッとが顔をあげる。
オレは、出会った視線をそっと逸らし、
立ち上がろうとテーブルに手を着いた。
！！
その手をがそっと押さえたんや。
「？」
かすかに震えるその手に、オレはどう答えたらええんや？
ホンマは怖いんやろ？
オレは座り直して、手を握り返す。
ホンマは欲しい。せやけど……。
「プレゼント、まだ渡してないよ？」
下を向いたまま、真っ赤になって、震える声でが告げる。
ジブン、そんなに緊張してるのに？
「せやけどな。無理せんでもええんやで？」
どうしていいのか、正直困る。なんやこれ？
「無理なんかしてない！」
突然は顔をあげ、キッとオレを睨むようにオレを見た。
びびった。いや、マジで。
「そ、そりゃ。き、緊張は……してる……けど……。」
視線を逸らしながら、だんだん声が小さくなっていく。
あんまり可愛くて、オレは後ろからを抱きしめる。
オレの顔が見られんように……。
「…………。」
愛しげに耳元で名前を呼ぶと、耳まで赤くする。
「あ、あのね！私。この前も言ったけど。その……。」
「ん？なんや？」
「だからその……。初めてで、どうしていいのか……分からない。」
恥ずかしそうにが、正直に伝えてくれる。
オレも……。
秘密を打ち明けなあかん…。
「なあ、。オレって、どない経験ある思うてる？」
気にしてないと言うてくれた噂達。
オレの知らん所で一人歩きしまくってた噂。
洒落にならんこともあったはずや。
悪さしてきたのも知ってるはずや。
ピクンと一瞬、が体を硬くした。
「どないって言われても……」
そうやな。何人位だなんて、言える訳ないやん。
オレって意地悪やな。
「いや、色んな噂聞いてるんやろ？そやから。」
何言うてんねん、オレは……。
「分からない。そんなこと……。」
そりゃそうや。何て言って欲しいんや、オレは！
重たい空気が流れる……。
バカか？オレは…。
沈黙が苦しくなってきた頃、
「ねぇ、姫条君？」
が声をかけてきた。
「なんや？」
「もしも…よ？姫条君の過去の噂が全部、本当だったとして、
それが何か今の私達と関係あるのかな？？」
へ？
思わず顔をあげたオレをが振り返る。
「もしかして、私が初めてだっていうのが、…めんどくさい？」
泣きそうな瞳。震える声でが聞く。
そんな訳あるかい！！
ため息とともにオレは肩を落とした。
そうやない。。
「な、なに？まずいこと言った？」
「いや…そない思われてるっちゅーことやな。」
苦笑いでを見つめる。
せやけど、オレの過去の噂が全部本当だったとしても、
はオレの物になってくれるつもりなんか！？
「あんな……経験、ゼロやって、言うたら信じる？」
「は？」
の目が点になっとるわ。
そりゃ、そうや。とんでもない噂ばっかだったはずや。
「？…ひいてもうた？」
散々遊んでるような振りして、ホンマは経験がないやなんて、
普通ひくやろ？ホンマは秘密にしときたかったわ。
せやけどな…。ジブンには知っていて欲しかったんや。
ホンマのオレを……。
は何や考えているような顔をしている。
「？」
不安になって再び抱きしめる。
「ひいたりなんてしないよ？ただ…噂って最低だったんだなって思って。」
聞いた噂を色々思い出しているんやろか？
だんだんの表情が険しくなる。どないしたんや？
「？何怒ってるんや？」
オレが初めてなのがムカついとる訳…ちゃうよなぁ？
「あ、ごめんね。気にしてなかったけど、面白おかしく酷い噂されてた事が
今更ながらムカついちゃった！」
ペロッと可愛い舌を出して、笑った。
「でも、どうして否定しなかったの？」
不思議そうに尋ねる。
「ああいう噂は本人が否定すればする程、酷くならんか？」
うーん。首をかしげ、少し考えてから、
「それも、そうだね。」
ニコッと笑った。
ホンマに綺麗な笑顔やった。
「ほな、今夜はホンマに、お前帰さんでもええんやな？」
真っ赤に染まる。
「……うん……。」
小さい声でそう言うてくれた。
「まどか。２人で一緒に大人になろうね？」
シーツに包まり、オレの腕枕の中、寝入る瞬間、が寝言のように告げた。
不覚にもオレは泣きそうになった。
今夜は眠れそうにない。
ずっとの寝顔を見守っていたい。
ありがとうな。
愛してんで…………。
ＥＮＤ
(C)KanoNakaizumi‘Lemonade’
姫条君ＢＤ記念フリー
■ 花野の言い訳 ■
にぃやんは実は初めて！私の理想だったりします。
軽いノリのにぃやんですが、重い付き合いするのが
嫌だったからこそ？彼の話術（あるんか？）で
はぐらかし！最後まではせん！絶対部屋に女は入れん！
そうであって欲しい!!!
自分が実は初めてだと言うことで、ちゃんよりも、
本当はビビッています！(笑)
そんな感じにしたかったんですけど、失敗。(涙）
とにかくおめでとう！まどか！！（え？）
申告はしなくてＯＫですが、ＨＰアップの際は
報告して頂けたら、踊りながらお礼に伺います！（ホントか？）
2005.6.7 花野
* 「UPA☆LAND」様のまどか生誕祭に参加し、李 空様より挿絵を頂きました。
2004.6.20壁紙変更
ｂａｃｋ