「……お疲れ……。」

喫茶店のバイトを終えた私を、外で葉月君が待っていてくれた。

「あ、葉月君の方が早かったんだね。ごめんね。待った？」

「いや……ここから、お前が楽しそうに動いてるの、見てたし。」

「え？」

見てたの？かぁーっと顔が赤くなっていくのが、分かる。


そう、一週間前、葉月君か姫条君か、どっちかを選べと言われた。


誕生日。今日は私が生まれた特別な日。


なーんて私自身は忘れてたんだけども、自分の誕生日でさえ、

そういえばそうだったかな？なんて、忘れているような葉月君が、

私の誕生日を覚えていてくれた！

その上、一緒に過ごそうって言ってくれた！

姫条君には悪いけれど、バイトもあったし、私は葉月君を選んだ。

だって、私は……あの時……姫条君を選んでしまったら、

二度と葉月君と近くなれないと思った。そして、そんなのは絶対に嫌だと。


一緒に過ごすなら、やっぱり好きな人とがいい。


私は……葉月君を好き……なんだ……。



「急に黙りこんで……どうした？」

心配そうに葉月君が私を見つめる。

その真っ直ぐなグリーンの瞳にドキンと胸が高鳴る。

「ううん、何でもない。」

慌てて首を振り、笑顔を作る。


「……そうか。」


ん？葉月君が黙り込んでしまった。

「どうしたの？」

「…………。」

「葉月くん？？」


「なぁ。本当に俺で……良かった……のか？」

「え？どうして？」

「俺が先に誘ったから……無理してるんじゃないかと。」

？？何が？

「本当は……姫条と……過ごしたかった……か？」

葉月君が辛そうに見えた。

「どうして？私は誕生日だから、特別な日だから、葉月君といたいって！」

思ったんだよ？って、言葉にする前に、葉月君にギューっと抱きしめられた。


「サンキュ。」


葉月君は少し私を解放しながら言った。



「俺……お前が生まれてきてくれて……良かった。」


そう言った葉月君はすごく綺麗な微笑で私を見つめた。



「愛してる……。」





唇が重なる瞬間、葉月君はそう告げてくれた……。




ＥＮＤ

Ｈａｐｐｙ　Ｂｉｒｔｈｄａｙ！まつるさん！


(C)KanoNakaizumi‘Lemonade’




後日談……というものが本当は続き、真のＥＮＤはこの後にあるのですが、
後日談は、まつるさんだけの物！なので、アップ出来ません。
ごめんなさい。本当に中泉の遊び心？だけで作ったものです。楽しかった。
ちなみに｢働いてる」ではなくわざと「動いてる」と表現しています。
2004.5.18(修正ＵＰ）

ｂａｃｋ