Ａ ＰＲＥＳＥＮＴ ＴＯ Ａ ＳＩＣＫ ＰＥＲＳＯＮ〜主人公side


あー、びっくりしたよ！

わたしはあまりの突然の出来事に驚きを隠せなかった。

妙な汗かいちゃったよ･････。


だって、だって･････、

とんでもなく恐ろしい夢を見てしまったんだもん･････。


えっ、どんな夢だったかって？

･････知りたいの？･････そう、知りたいのね･････。

後悔しても知らないわよ〜！


実は、ね･････、

あの和馬くんが･････、




絆創膏を剥がす夢を見てしまったのよおぉぉぉぉぉぉぉぉ･････。




ね、恐ろしいでしょ！？

本当に心臓が止まるかと思ったんだから！

思わず両手を頬にあてて『ム○クの叫び』のポーズを取っちゃったよ。

わたし、小心者だって言ってるのにぃ！

あまりの恐ろしさに、和馬くんが絆創膏を剥がし終わった途端に目が覚めちゃったんだけど･････。


ちょっとだけ、見てみたかったかも･････。


それにしてもさっきから尽がチョコマカうるさいなぁ。

わたしが具合悪くて寝ているのをいいことに金目の物でも奪っていこうという魂胆なんだろうけど、
ねえちゃんはあんたのそんな考えはお見通しなのよっ！

あんたに盗られそうな物は既に別の場所に移動済なのよ、ウフフフ･････。

『魅力』『気配り』を上げることだけが金持ちの女になる条件じゃないのよ！

それにしても誰に似たのかは知らないけど、ホント抜け目がないんだから･････ふぅ。


「もう！！しつこいなぁ！！わたし、体調悪いん･････。」

うるさい尽あしらおうと、ベットから起き上がって少々怒鳴り気味に言ってみた。

でもそこには尽ではなく、わたしの想像していなかった人がいた。


「あ、よお･････しつけえ？俺、べつに、なんもしてねえけど。」

わたしは一瞬、目を疑った。

「和馬くん！？ごめん！！わたし、てっきり弟かと･････。」

まさか･････さっきの夢の続き！？

でもこの和馬くんはきちんと絆創膏をしているし･････夢じゃないみたい。　


「あ、そっか。学校のプリント、持ってけって頼まれてさ。大丈夫か？おまえ。」

心配そうにわたしの顔を覗き込む和馬くん。

わたしの視線はそんな和馬くんの左頬の異物に集中してしまっていた。

･････きちんとついているよね、絆創膏･････本物の和馬くんだ、よかった〜！


「ありがとう。もう、だいぶ･････。」

和馬くんの絆創膏を見て安心したわたしがお礼をいいかけると、尽が遮った。

「ジュースですが･････。じぃ･････。なるほど･････メモ、メモ。」

「な、なんだ･････！？」

ジュースを持ってきてくれるなんて気が効くじゃない。

でも、そんなことでわたしの目は誤魔化されないわよ！

和馬くんにはわたしの金目の物の在り処を教えてないんだもんね〜。

だから彼から聞き出そうなんて無駄な行為なのよ、フフフ･････。


「尽！」

「どうも！至らぬ姉ですが、どうぞ、よろし･････。」

「尽！！」

和馬くんに迷惑がかかるといけないと思い、尽を追い出す。

「･････ちぇっ。はいはいわかったよ〜だ。」

そう言って尽は部屋から出ていった。


「･････あっはは、おもしれえよな。おまえの弟･････。」

「そうかなぁ･････。」

“おもしろい”、っていうより“抜け目がない”んだと思うんだけど･････。


「おう。あ、それと、今日、おまえの誕生日だったよな。」

「あ、うん･････。」

そうだ！すっかり忘れていたけど、今日わたしの誕生日だったんだっけ。

あのバスケのことしか頭にない単細胞和馬くん（失礼な・・・・・）が覚えていてくれたなんて･････。

これぞ絆創膏マジック！？･････ナンデヤネン！


「コレ、おまえにやるよ。･････誕生日プレゼント。」

「和馬くん･････。すごくうれしい。ありがとう･････。」

「あ、そんなに感動すんなよ。中身、気に入っかわかんねえし･････。」

わたしがお礼を言うと、何故か顔を赤くしてそっぽを向いてしまった和馬くん。

どうしたんだろう？･････はっ、もしかしてわたしの病気が移ったとか！？


「んじゃ、あんま長居すっとおまえの身体に障るかんな。帰るわ。」

いやいや、わたしはもうかなり元気だよ。

わたしのことなんて気にしなくても、具合が悪いなら素直にそう言えばいいのに･････。

･････もしかして和馬くんってば、実は凄く照れ屋さん！？


「早くよくなれよな。ニンニク食っとけよ、ニンニク！･････んじゃな。」

そう言って帰っていく和馬くんの後姿を見送った。

和馬くんこそお大事にね！ニンニク食べてね、ニンニク！！



･････そういえば結局和馬くんは何しに来たんだろう？

あっ、プリントを渡しに来てくれたのか！

そうだよね。わたし一週間も学校休んじゃったから、勉強がみんなより遅れちゃってるもんね･････特に数学！

久しぶりに学校へ行って氷室先生に会うのが怖いなぁ〜･････よしっ、明日の日曜日に数学頑張るぞ〜！


わたしは和馬くんから貰ったプレゼントを片手にそんな決意をしていた。

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