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好きだと言ってしまったら、この関係は終ってしまうのか？
お前の心の中にいるのは誰？
俺？？
それとも・・・。
その、指輪の男？？
指輪の秘密
〜キーンコーン カーンコーン〜
今日も退屈な授業が終わり、教室がざわめき立つ。
友達を誘うもの、部活に急ぐ者、そのまま残って話し込む者。
俺は、そのどれにも入らず、一人帰路に着く。
大勢でガヤガヤするのは、好きじゃない。
一人で方が、ゆっくり眠れるし。
ただ、あいつだけは別。
あいつだけは、煩くても、挙動不審でも、天然でも、一緒にいたいと思う。
そんな事を思うようになったのはいつからだろう。
きっと、入学式にあの教会で再開してから。
あの頃とかわらないあいつの笑顔を見てから。
ずっと、あいつの事、見ていた。
「あれ？珪くん。今帰り？？」
「あぁ。お前か。」
「うん！！」
こいつ、この何にも考えていない笑顔の子。
クラスメイトの 中泉花野。
幼い時、あの教会で知り合って、一方的に一目ぼれをし、
そして、一方的に別れを告げた。
もちろん、幼い頃の事だから、あいつは全く覚えていなかったけど、
俺は片時も忘れた事はなかった。
そして、今でもあいつに恋心を抱いている・・・。と、思う。
あいつの行動一つ一つが、気になって、愛おしくって…。
こんな事、考える俺、変だな…。そう思うけど、止まらなくて。
ただ、どうしても気になる事が…。
「これから、帰るのなら、一緒に行かないか？ついでだし…。」
いつも、何も思っていない顔で一言多く行ってしまう。
「え？？・・・。う〜ん・・・。」
そして、最近あからさまに困った顔をする花野。
少し前なら「うん！！お茶して帰ろうよ！！」と、子犬のような顔で答えてきたのに。
それも、左の薬指に指輪をし始めてからだ。
やっぱり、恋人・・・。出来たのか？？
「無理なら…。いい…。」
「・・・。あっ！！！全然無理じゃないよ！！行こう！！お茶でもしない？？」
少し、無理やりに笑顔を作る。
そんな顔をさせているのに、一緒にいられるのを心の底で喜んでいる俺は、
やっぱり汚い人間になってしまった。と、実感する。
今日は何故かいつも行くファーストフードの店ではなく、
俺が良く撮影の合間に行く喫茶店を選んだ。
店に入ると、一番奥の席に通された。
この場所が、俺の一番好きな席。
誰にも邪魔されずに、昼寝が出来るから。
「いらっしゃい。今日は彼女連れなんだ。」
「ども。コイツ、高校の同級生。」
「は、初めまして。（ゴツッ！！！）いった〜い！！」
「大丈夫？？ほら、葉月君、おしぼり渡して、彼女に」
「あ〜、ご、ごめんなさい。大丈夫ですから…。」
「ほら、大丈夫か？」
「うん、うぁ〜、恥ずかしい…。」
「（クスッ）おでこ、赤くなってる…。」
「もう！！笑わないでよ〜。本当に痛かったんだから〜。」
「（クスッ）ごめん。でもお前、面白いな。」
「も〜！！珪くんのイジワル！！」
子供のように頬をプクッとさせて、横を向いてしまった。
本当に、飽きないヤツ。
「ごめん、悪かったって。こっち向けよ。」
「もう、笑わない？？」
「あぁ、笑わない。…、多分。」
「珪君のばか〜！！」
「あの〜、ラブラブなところを悪いんだけど、注文いい？？」
「（ハッ！！）いつもの…、二つ。」
「はいはい。二人とも、仲良くていいね〜。」
「///・・・。」
すっかり店長がいたことを忘れてた…。
注文を取ると、さっさと戻っていってしまった。
すぐに来たコーヒーには、頼んでいないケーキがついていた。
頭を打ったお見舞いだとか。
店長、なかなか気が利く…。
「なんか、悪くないかな〜。私が勝手にぶつけただけなのに。」
「いいんじゃないか？それにお前、甘い物好きだろ？」
「うん！！！でも〜。」
「大丈夫だ、後でお礼言いに行こう。」
「うん、そうだね。それじゃ、いただきま〜すｖｖ」
ケーキをほお張りながら「美味しいｖｖ」と幸せな顔をする。
そんな花野に見惚れてしまう。
「あれ？珪君食べないの？？」
「あぁ、食べるか？」
「ダメ！！これ以上太ったらどうするのよ〜。ダイエット大変なんだから〜。」
「太ってる？俺は、このままの花野でいいと思うけど。」
「お、お世辞を言っても何も出ないからね///」
思った事を言っただけなのに、顔を赤くして照れている。
そんなしぐさも、可愛くて、全てを俺の物にしたい。
そんな事を思ってしまう。
でも、あの「指輪」が、それを言わせてくれない…。
今日こそ、誰から貰ったのか、聞けるだろうか…。いや、聞かないといけない…。
と、思う…。
「なぁ、特別なヤツ…。いるのか？」
「（ブハッ！）な、何？？どうしたの？？てか、ごめん。噴き出しちゃった！」
やっぱりいきなり過ぎたか？
花野はコーヒーを噴き出して、驚いていた。
目を真ん丸くさせて。
俺がこんなこと聞くとは思わなかったのだろう。
「悪い、いきなり。…、ただ、聞いてみたくなった。」
真剣な顔で見つめてみた。
「え、え〜と、…。い、いないよ…。そんな…、人…。」
明らかに動揺して（誰だっていきなり聞かれたら動揺するでしょ！！）
目を逸らしながら答えた。
「指輪…。」
「え！？」
「それ、プレゼントしたヤツが『特別』じゃ、ないのか？」
「や、やだな〜。こ、これは自分で買ったんだよ。…うん。」
「そっか。」
「そうだよ！！」
そう答える花野の目が、泳いでいた…。
俺には隠さないといけない相手なのか？
「もう、本当にビックリした！！ さっ、この話は終わり！！
珪君らしくないこと聞いてくるから、調子狂っちゃうよ。」
「あぁ。悪い…。」
その後は、学校の事や、最近バイトを始めた事などを話した。
どうやら、ガソリンスタンドでバイトを始めたらしい。
（今度、様子を見に行ってみよう。）
「そろそろ帰ろうか。」
そう言われて時計を見ると、もう１８時を回っていた。
「あぁ、俺、送ってく。」
「ありがとう。遅くだけど、大丈夫？？」
「あぁ。行こう。」
送っていくのは、まだ花野と離れたくないから…。
ずっと…、一緒に居られたらいいのに…。
薄暗くなった道を二人で並んで歩いている。
すぐ隣、触れるか触れないかの場所に花野が居る。
出来る事なら、その手に触れたい。
引き寄せて、抱きしめたい。
抱きしめて「好きだ」と、「もう二度と離さない」と…。
そんな事、伝える勇気もないのに、思ってしまう。
今までは、また幼い頃の時の様に、花野とまた離れてしまうのが恐かったから。
でも、今は…。
気持ちに答えられないと、指輪の男が居るからと、そう言われるのが恐い。
・・・。臆病者だ、俺は。
「あれ〜、なんや花野ちゃん、こんなところにおったんか〜。
・・・、うわ！！葉月も一緒かい。」
黙ったまま歩いている二人の前に聞こえてきたのは、
聞き覚えのある関西弁。
「あっ！！姫条君。あ、あの〜、今日はごめんね！！急に行けなくなって…///」
「ええって。葉月と一緒やったんなら、しゃーないやん。」
「き、姫条くん！！！」
なんだか、二人で楽しそうに話し始めたのが、気に入らなかった。
それに、今日本当は姫条と会う予定だったとは…。
もしかしたら、コイツが…。
「（ぼそっと）なぁ、指輪の事、葉月は気ぃついたんか？」
「ううん。だって言ってないし。」
「（はぁ〜〜〜、全く世話の焼ける二人やな〜。葉月は葉月で、さっきからずっと
オレの事、睨んどるし…。しゃーない。ここは一つ、鎌かけたろ。）
おっ、花野〜。オレのあげた指輪、大事にしてくれてるんやな〜。嬉しいわ〜。」
（ピクッ。）ゆ、指輪って・・・。
「姫条君！！突然何言い出すの！！」
「（おうおう、二人とも慌てとるな〜。）だ〜か〜ら、その指輪の事やろ。
大事そうに左の薬指に着けとる・・・。」
「姫条君！！！！！」
慌てて、止めようとしている花野。
明らかにワザと指輪の事を俺に言おうとしている姫条。
二人を見ていたら、何かが俺の中で切れて…、
「行くぞ…。」
気が付いたら、花野の手を掴んで歩き出していた。
「・・・。ほんまに、世話の焼ける二人やな〜。」
ぽつんと残された、姫条君の独り言は、もちろん二人には届かないだろうけど…。
（寂しいね、まどか…。）
「ほっとけ！！！」ｂｙまどか
花野「痛い！！珪くん、どうしたの？？ねぇ？！」
の問いかけにも答えずに、ずっと歩き続け、着いた先は“いつもの公園”
なんでここに連れて来たのだろう…。
今更、花野には姫条がいるのに…。
諦めるべきなのに。花野の幸せを考えたら。
いや、やっぱり無理。花野を…、離したくない！！
「好きだ。」
一言だけ言って、きつく花野を抱きしめた。
もう、離したくない。その思いも込めて。
「ずっと、お前の事…、見てた。でも、俺、伝えるのが下手だから…。」
「珪くん。」
「姫条が『特別』なヤツだってのは、わかってる。でも、それでも！！お前を…。」
「・・・。」
「花野を離したくない！！」
また、きつく抱きしめると、
「愛してる」
耳元で囁いた。
「あ、あの…。そ、それ、本当に？」
「この状態でウソを言えるほど、俺は器用じゃないから…。」
「あの、えっと/// 一度、離してくれる？？」
「嫌だ。離したら…。花野が居なくなってしまいそうだから。」
「あ、あの/// ちゃんと、珪くんの顔を見て返事を…、返事をしたいの。」
抱きしめていた腕を、しぶしぶ解いて、花野を解放してやった。
本当は、答えなんか聞きたくない。
「姫条が好き」
その一言を花野の口から聞いてしまったら…、
もう、二度と、元の関係に戻れないだろうから。
「はぁ〜〜〜。ビックリした！！今でも、心臓がドキドキ言ってる。」
真っ赤な顔をして、でもいつも通りの花野の話し方だった。
「珪くん。」
「あぁ。」
「私も、珪くんの事、大好きです。だから凄く嬉しい///ありがとう。」
「え？？」
「「え？」じゃなくて！！恥ずかしいから二回も言わせないで〜〜///」
それじゃ、姫条は？？その指輪は？？
嬉しさと驚きで、凄い顔をしていたと…、思う。
「あのね、姫条君は…、恋愛相談してたの。」
「恋愛相談？？」
「うん。あ、あの、私、珪くんの事を好きで…、でもそれを伝えたら、
今の関係がダメになってしまいそうで…。それが恐くて…。」
「で、姫条に相談したと？でも…。その指輪は…。」
「よく見て！！この指輪を。」
左手の薬指に輝くシルバーの指輪。
花野の手を引いて、近くで見てみる。
「・・・。あっ。」
「わかった？？これ、珪くんが作ってフリマで売っていた物だよ。
お手伝いした時に、全部売れちゃったでしょ？でも、どうしても欲しくて…。
それで、姫条君に変装して買いに行ってもらったの。」
姫条とは、バイト先が同じで、仲良くなって。
それから、いろいろな話をするようになって、相談に乗ってくれた。
と、話してくれた。
「そっか。（姫条、少しだけ、同情する…。）」（うるさいわ〜！！ｂｙ姫条）
結局、自分の作った指輪に、自分自身に嫉妬していた。
あの時「お前に似合うヤツ、いつか作ってやる。」と言っていた指輪。
それが出来上がるまで、卒業式までは、その指輪、つけてて…。
卒業式の日に、ちゃんと。
こんな形でなく、もう一度ちゃんと告白するから。
お前に、花野の為に作った『指輪』を持って…。
「なんか、オレって損な役ちゃう？？」
ど、どんまい…。
四葉の誓い、誠に華咲く 様にて、カウンターが１０１１０だったから、ちょっと嬉しくてカキコしたら、
キリリク受付して下さいました。
じゃ、王子で！！と涼華さんにお願いしちゃいました。
最初、うっ王子が切ない思いするのは読めないのよ？とドキドキしましたが、
最終的にはまどかってば可哀想〜って事で、ホッとしました。(笑)
はっきり言えない王子。でも追い詰められたら、結構強引じゃん？とニマニマしました。
ドリームＳＳだったのですが、せっかくなので、「花野」と入れてドリーム解除しました。
主人公ちゃんが、涼華さんのキャラに思えていっそ涼華にしようかとも思ったけれど。(笑)
頂いておいてアップ遅くなってすみませんでした。
実はかなり壁紙に悩んでいました。こんな指輪王子は作らないわ！な方はごめんなさい。
全然素材に見つからなかったんですぅ。(涙)
涼華さん(やっぱさん付けは今更気恥ずかしいわ)ありがとうございました。