Ｃｏｌｌｅｃｔｉｏｎ　!?




夕暮れのショッピングモール…。


俺は突然声をかけられた。

「よぉ〜。そこのお兄さん！」

？？？誰だ？訝しげに振り返るとそこには、片手を軽く挙げ、

親しげに、でも何か企んでいそうな…そんな笑顔の少年がいた。

眉間に皺を寄せ、知り合いじゃないよな？と記憶を辿ってみる。

「お兄さん、葉月珪だろ？」

無遠慮な呼び捨てには慣れてはいるが…。

「やっぱ、カッコイイよ！うん！」

じっと上から下まで見られて、しばし俺は唖然とする。

「身長何センチ？体重は？」

ふいに聞かれ、

「…178…62…」

つい答えてしまう。

「ふ〜ん。それってやっぱ細い方なのか？」

「…さぁ？どうだろ…」

なんで、答えてるんだろう？俺…。

「じゃあさぁ。誕生日何月？」

「10月だけど…」

「で、何日？？」

「…16……か…？」

「10月16日ね、天秤座ね…ふむふむ。」

急にメモを取り出し書き始める。

「血液型は？？」

ハッとする。いくらなんでもちょっと待て！

「おい！」

「え？何？」

きょとんとした顔で俺を見上げる。

？？？

その表情…最近どこかで見たような…。

しばし考え込んでた俺に、何だよ？と視線を送る少年。

「お前…誰だ？？」

何か聞かれるままに答えてしまった事に、ちょっとムッとしていたかもしれない。

「あぁ、俺？通りすがりの小学生！」

ニタっと悪びれもせず答える。

「で？血液型は？？」

「Ａ……！」

しまった。また答えてしまった……。

「Ａ型っと…。」

「じゃ、携帯番号と好きな女性のタイプを！」

！！！

「おい！」

さすがにそんなこと答える訳ないだろ？

ジロっと睨むと、肩をすくめて舌を出す。

「なんだぁ。ダメか…。しょうがないなぁ。」

何がだ！！

サラサラとメモ帳に何か書いたと思ったら、それを破る。

「はい、これ。」

その紙切れを思わず受け取ってしまった。

「…何だ、これ？」

「見れば分かるでしょ？携帯番号！」

「……お前の……か？」

そんなの教えてどうしようと？

「あ、違うよ。でもかけて絶対損はしないから！」

「は？」

怪しい電話番号じゃないのか？？

そう思って顔をあげた時にはもう、少年は少し先を走っている。

「嘘じゃないよ！！騙されたと思って1度でいいからよろしく！」

俺を振り返りながら、笑顔で手を振り、夕日に向かって消えていく。

！！！

その笑顔…遠い昔…あの懐かしい少女を思わせた……。


これが誰のかは分からない…。

だけど…あいつの知り合いだということだろう。

害は…ない…かな…。


そのままそっと紙切れをポケットにしまった。






ＥＮＤ



■　花野の言い訳　■

誰もがゲームを始めた時に、通りすがりの小学生に番号を渡されたからって、
モデルである王子がいちいち電話をするのか？？そう思った事と思います。
皆さんそれぞれ解釈があるかと思いますが、「尽が懐かしい彼女に似ていたから！」
そんな人が多いんじゃないかな？なんて考えています。
実際そういう解釈のお話を読ませて貰ったサイト様もあります。
全く同じ解釈であっても、後から書く自分は真似になってしまうので、
（しかも読ませて貰ったサイト様があるので）どうしよう？と
なかなか王子メインのＳＳ書き始められませんでした。
でもやっぱりここから始めないと自分なりに進めないので、書く事にしました。
今回は……電話をかける手前まで。
尽が王子情報をどうやって入手したか！を書きました。
尽の質問攻めについ、何だ？と怪しみながらも、ボーッとしてるから（え？）
答えてしまった王子！！そんな感じが出せていたらいいなぁ〜。（滝汗)
何か王子っぽくなかったかな？？
どうして電話をかけたのか？それはまたいつか…。（いつかって何だよ！）

2004.11.16　花野

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