姫条のヤツ･･･。




今日は暇だったからよ･･･。

チケットがあるから来いって姫条に言われて、遊園地に来たんだけどよ。

これって、Ｗデートってヤツなんじゃねぇのか？

いや、単に藤井がチケット４枚もらったからって、

暇なヤツが揃ったっつーだけかもしんねぇーけど･･･。


まさか、がいるなんてな。ちょっと、いや、かなりビビッったぜ。


しっかし、さっきから姫条、お前･･････。


「ほな、ちゃん！次、俺とジェットコースター乗らへん？」

「うん！スピード感がたまんないんだよね！」


ばっか誘ってねぇーか？

おいおい、いくらにぶい俺でも、藤井が姫条に気があるって分かるぜ。

なのに･･････俺にどーしろって言うんだよ！？

「ほな、次は･････ちゃん、はよ行こ！」

げっ！またかよ。俺ら無視か？

あっ。が困った顔してねぇーか？

ったく。どうすんだよ！なんてうんざりしているとが俺を見た。


「あ、私！今度は鈴鹿君と行く！」

「は？」

「え？鈴鹿と？･･･じゃーオレは藤井とかぁ〜。」

「何よ？さっきからムカつくわね。私のチケットでしょ！」

「おぉ。悪りぃ、悪りぃ。忘れとったわ。」

「ほんま、ムカつくー。」

「だから、その下手な関西弁やめぇ。」

姫条と藤井が騒ぎながら歩いていく。



「良かった････。」

ほっとしている。･･･うん？何が良かったんだ？

「おい、。俺とでいいのかよ？」

「え？」

姫条はに気があると思う。多分、そうなんだと思う。

俺は･･･？よく分からない。でもお前は･･･？

「姫条と周りたいんじゃねぇーのか？」

「え？なんで？そんなことないよ？」

心底何の話？って顔して、前方の２人を見ている。

「あ、そういえばさ、鈴鹿君と遊園地来るの久しぶりだよねぇ〜。」

突然振り返り、俺の顔を覗き込みながらそう言った。

「ああ、そうだったな。」

「うふふ。」

「な・なんだよ？」

「次はねぇ〜。･･････お化け屋敷だよ！」

「げっ！」

前方に見えるその建物は･･･まさにそこ！

そしてあいつらは、

「はよ、来いよぉ〜。先行くでぇ〜。」

さっさと行ってしまう。

「行こ？」

「あ、ああ」

半分青くなりつつ、一緒に行く。

、俺が実は苦手だって知っててワザとか･･･？








「すげぇ数のおばけだったよな。なぁ、お前幽霊って信じてたりするのか？」

「本物見ちゃったら気絶しそうだね。」

「だよなぁ〜。」

「うん。でも臆病な人の見間違いでしょ？」

「馬鹿！本当にいるんだぞ！おばけ！」

「見たことあるの？」

「ないけどよぉ〜。」

俺を覗き込むの顔が何だか笑っている･･･。

「あ、馬鹿にしてんだろ？」

ムッとしてプイっとそっぽを向いてしまった。

「ううん。･･･ごめんね。」

洋服の裾をツンツンと引っ張って、俺を振り向かせ、

「本当は怖かった。鈴鹿君に抱きつきそうになったよ。」

ペロッと舌を出す。


「//////////」

俺は･････････。

違う誰かにこんなこと言われたら「バッカじゃねぇーの？」って言う。

絶対に言う！そう思うのに！に言われると俺･･･。

おい！どうしたんだ！！俺！！！！

「おぉ〜。スズカー。ちゃん！どないやった？」

「うん！怖かったけど、鈴鹿君が一緒だったから大丈夫！」

「あ、それそれ！それ言うてもらわな！

藤井なんてお化け蹴飛ばして、お化けの方が怖がっとったわ。」

「何をぉ〜？姫条！」

姫条を藤井がこぶし振り上げて追いかける。

「あはは〜」

そんな２人を見て、本当に楽しそうに笑うに、俺は見惚れてしまった。


何か急にが輝いて見えた気がした。心臓がバクバクいってるのが分かる。


もしかしてこの気持ちが恋ってヤツなのか？

うわぁ〜マジか？

この俺がか？？


姫条がライバルかもしんねぇーのに？

今までに誘われて、何の気なしに２人であちこち出かけて来たけど、


それを最近デートなんじゃねぇーか？なんてガラにもなく、焦ったり、

だって単に気が合うって思っているだけかもしんねぇしよって考えたりもした。

変に意識しなきゃいいんだって思ってた。

で、でもよ･･･。


「ねぇ、鈴鹿君、次バンジー一緒に行かない？」

が満面の笑みで俺に言う。

一瞬ボーっと見惚れてしまう。

「･･･鈴鹿君？」

「///･･･ああ、飛ぶ時ポーズ決めろよ!」

「うん！」

あっぶねぇ。抱きしめたいなんて思っちまったよ。


「あー、ちゃん。何スズカと楽しそうにしてんねん。俺も入れてやー。」

姫条が戻ってきて、ワザとらしく言う。

「姫条君！次バンジーね！」

「おお〜。エエやん、それ。ほな次はちゃんと俺やね。」

「あ、ごめん。今、鈴鹿君とやろうって決めちゃった！」

「何やそれ〜。ええもん、スネたるもん。」

「はいはい。姫条は私とね！」

またも楽しそうに笑っている。



でも、だからどうしようって？

本当に俺がを好きだったとしてもだぜ？

が俺をどう思っているかなんて分からねぇーし、

姫条がライバルかもしれねぇーし。

今、こうやって遊ぶのが楽しいからよ･･･。



「なぁ。。」

「うん？何？鈴鹿君」

「来週の日曜日、ボーリングにでも行かねぇか？」

はちょっとびっくりしたようだった。そうだろうな。俺から誘ったことねぇもんな。

「うん！行く！」



「うーん。」

は力いっぱい空に向かって伸びをした。

そして、俺を振り返り

「久しぶりだね！勝負よ！」

と言って笑った。

「おお!手加減しねぇぜ！」

「うん。･･･初めて鈴鹿君から誘ってくれたね。」

にっこりと嬉しそうに笑う。


こんな笑顔がそばで見られるだけで幸せなのかもしれねぇな。


今はそれでいいんじゃねぇか？



「あ、２人とも早いよぉ。行こ！鈴鹿君！！」


「ああ。」



とっとと先を行く２人を追いかけようと走り出した。




ｅｎｄ


花野の言い訳

鈴鹿君視点で見たＷデートです。
彼は主人公ちゃんに自分が惚れているかどうか、よく分かっていませんでした。
でも姫条君の態度に何だか腹立つ気がする。
自分の気持ちを自覚する！それが今回のテーマでした。
ここからの彼はメロメロになります･･･？（誰に聞いてんだよ！）
バンジーがあるということで、2004.6以降って所です！
2004.3.14


遊園地の素材は下記サイト様よりお借りしました。
サイト名　「おしゃれ探偵」
管理人　「Kira」様

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