星祭り


「あ、姫条君！鈴鹿君！」


「「あ？」」

姫条と二人、今日の試験も赤点だろうから、

ヤベ〜な今回も補習か？等と話しながら帰ろうとしてきた時だった。

「今、帰り？」

そう笑って話しかけてきたのは、だった。

「よぉ〜。ジブンも今帰りなんか？」

「うん。姫条君たちもだよね？」

そう言いながらが姫条に微笑みかける。

ズキッ

たったそれだけの事。

今までにもあった事。

それなのに、どうしたんだ？俺！



「どうした？何か用なのか？」

俺は何でもないフリをして聞く。

「あ、うん。今日これから、何か予定ある？」

俺達を交互に見ながら、が聞いた。



「あちゃ〜。オレは今日バイトがあんねん。」

姫条が答える。

「あ、そうか。今日は水曜日だったね。」

残念そうにが言う。

「じゃ、鈴鹿君は？」

「お、俺か？」

「うん。何か予定ある？」

にっこりと笑う。

「い、いや。別に特に予定はねぇーけど。」

姫条の視線を気にしながら答える。

「やった！じゃ、鈴鹿君！今日私に付き合ってくれる？」

極上の笑顔でが言った。








「なぁ。何があるんだ？」

姫条と別れて、と２人。近所の公園まで来た。

「あ、ごめん。今日って七夕でしょ？」

「たなばたぁ〜？？」

ああ、そうか。今日は７月７日か。でもそれがどうしたんだ？

「確かにそうだけどよ。それがどうかしたのか？」

訳が分からないと俺は尋ねる。

「うん。今日ね、星祭りをやるんだって。」

「星まつり？？」

「そう！どうしても行ってみたかったんだ！」

「まぁーいいけどよぉ。」

「ほんと？ありがとう。じゃ、後で神社でね！」

「お、おい！」

後でねぇ〜と手を振り、さっさと行ってしまった。

後でって何時だよ？

全くしょうがねぇ〜なぁ。




神社には、出店が並び、夏祭りのようだった。

なんだ？去年こんなのやったか？？

割と盛大な祭りになっていて、やること自体知らなかった俺はちょっと驚いた。


「鈴鹿く〜ん」

浴衣姿のが大きく手を振って近寄ってくる。

「ごめん、待った？」

ドキン。

その上目遣いは反則だろ！！

「いや、でもお前よぉ。待ち合わせ時間決めないで行くなよなぁ。」

「あ！！」

今、気づいた！といわんばかりに驚いて、真っ赤になる。

「ご、ごめん！」

「いや、いいけどよぉ。」

うなじまで赤くなったに、どうしていいのか分からなくなる。

視線を外し、前方を見る。

「なぁ。結構盛大なんだな。知らなかったぜ。」

出店を見る俺の視線を辿り、も同じ方向を見る。

「今年、初めてなんだって！でもすごいね。」

楽しそうと瞳がキラキラしている。

ドキン。。。

その横顔に緊張する。

綺麗だ…。

「ん？どうしたの？鈴鹿君？」

は！

「な、なんでもねぇーよ？」

「？」

「じゃ、行くか！何から行くんだ？」

「あ、私ね！……」







射的をやったり、焼きそば食べたり、一通り遊んだ後、

俺たちは境内で休憩していた。

「ねぇ、鈴鹿君、今日は晴れたから、２人は会うことが出来てるね。」

星空を見上げて、急にしんみりとが言う。

「好きな人と１年に１回しか会えないなんて、可哀想だなぁ。」

ま、まさか、な、泣くのか？

勘弁してくれよ？

「俺だったら、ぜってぇ〜。連れ去ってるな！」

「え？」

が俺を振り返り、じっと見つめる。

「だってよぉ。なんで１年に１度なんだよ？冗談じゃねぇよ。」

「鈴鹿君？」

「俺はぜってぇ〜に、一緒に逃げてやるよ！…なっ！」

を見つめ、微笑む。

かぁ〜、何言ってんだ？俺？

だって、目がてんになってるぜ。


…………



「うん！私も天の川泳ぐよ！！」

えへへと照れ笑いしながらも、が言う。

ドキン……。

「ま、それじゃ、神話っつーヤツにはなんねぇけどな。」

再び星空を見上げる。

「あはは！そうだねぇ。」

笑いながら、もまた星を見ている。




コイツが他のヤツに笑いかけたら、ムッとしたり、

コイツの笑顔にドキッとしたり、

コイツとこうやって、出かける事をデートなんじゃねぇかと

考えるようになったり…。

本当に最近の俺、こんなことばっかり考えて、どうかしてる。

やっぱ、これが恋っていうヤツなのか？？

この俺がコイツに恋してるっつーことなのか？？

こんな気持ち、俺は初めてだから…

まだよくわかんねぇーんだ。

だから、な。

まだ、もうちょっと…このままでいたい。

一緒に出かけて笑って…。

なぁ、それでもいいよ…な…？





ＥＮＤ
3001HITありがとう。莉音さんへ
(C)Kano Nakaizumi‘Lemonade’


■　花野の言い訳　■

莉音さんのリクエストは「鈍感な鈴鹿君と主人公ちゃんのある夏の日のデート」
まだ友好の二人？鈍感なんだと好きなのに分かってない二人？
ちょっと悩みました。。。１つ浮かんだんですけど、どうしても先が続かない！
でもこれ以上お待たせするのは…と思い、
主人公ちゃんの指定がないのをいいことに、
続きを書いてみよう！と思い立った作品がこれです。
莉音さん、ごめんなさい！
リクに全然答えられていないような気がします。。。
こんなんで許してくれる？？

2004.7.7　七夕に願いを込めて　花野

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