presentへ
novelへ
Knight
えらいこっちゃ。ちょっと遅れてしもた。
あいつの事やから、ボーっと待っとるんは、分かってる。
ちょっと遅れたかて、怒らんし、待っててくれる。
そんなことの心配やない……。
あーもう、オレのあほ！
はばたき駅はすごい人やった。
「あいつ、どこにおるんや？」
キョロキョロと、あいつの姿を探す。
人の流れが途切れた先に、を見つけた。
「おった。」
！と手をあげて、呼びかけようとし、止まる。
「誰と一緒なんや？？」
の視線の先には、誰かがおる。
しかも、はものごっつー楽しそうに笑っとる。
オレは、再び現れた人の流れの中を掻き分けて進む。
いったい誰や？
「も一応女だったんだな。」
「一応って、ちょっと酷くない？」
「あはは、ウッソだよ。似合ってるぜ。それ。」
「ありがとう！鈴鹿君！」
一緒におるのは、鈴鹿やった。
二人して、頬赤くして、照れ笑いしてたんや。
オレは、動くことも、声をかけることも出来ずにおった。
オレの視線を感じたのか、ふとがこっちを見た。
「あ！姫条君！」
大きく目を見開き、待ってたよ！と言わんばかりの顔。
慣れない下駄でパタパタとオレに走り寄ってくる。
オレは、それを嬉しいと思いながらも、声が出ぇへんかった。
「今ね！鈴鹿君に会ったから、一緒に行かない？」
純真無垢なその笑顔で、そうオレに言うた。
じょ、冗談やない！今日はデートなんやで？
せやのに、なんで３人でいかなあかんのや？
しかも、鈴鹿の野郎もに惚れてるんちゃうのか？
無言でムッとしたオレの顔色を読んだのか、
「やっぱり、ダメ……かな？」
ちょっと悲しそうにがつぶやく。
そないな顔されたら、ＯＫせなあかんくなるやろ？
そう思った時、
「姫条！」
鈴鹿がオレに近づいてきた。
「なんや？」
あからさまにムッとして答える。
「を待たせてんじゃねーよ。」
「なんやと？」
なんでお前に言われなあかんねん！
「す、鈴鹿君？」
が間でオロオロし始めたんで、オレはをオレの後ろに隠す。
「お前が遅れたせいで、、しつっこくナンパに集られてたんだぜ！」
「え？」
「姫条！お前、もっとを大事にしろよな！」
「……」
そうや、待たせたら、ナンパに集られるなんて、分かっとった。
それが心配で、遅刻せんようにしてたんや。
せやけど、今日は浴衣着たわええけど、下駄が見つかんなくて……。
「す、すまんかったな。鈴鹿。」
鈴鹿が助けてくれたんやな。。。
「わかりゃーいいんだよ！まったく！」
キッとオレを一瞬睨み、次の瞬間を見て、微笑み、
「じゃあな。俺、帰るからよ。楽しんで来いよ。」
そう言って立ち去っていった。
「あ、ありがとう！鈴鹿君！」
が声をかけると、振り返らず、片手を高くあげた。
すまん。
オレは、なんて小さいんや。
鈴鹿かてに惚れてるんや。
オレが来る分かってて、それでもをナンパから守る為、
一緒にいてくれたんやな……。
自分が情けなくて、落ち込んだ。。
「どうしたの？姫条君？」
「……」
「花火始まっちゃうから行こうよ？」
「……」
「具合、悪いの？？」
下から情けない顔のオレを覗き込む。
ぎゅっ
自分の顔を見られんように、抱きしめる。
「ちょ、ちょっと！姫条君？」
腕の中でがジタバタする。
「……すまん。遅れて。」
やっとの思いで、それだけ告げた。
「平気！ナンパもちゃんと断ったし、しつこいのは鈴鹿君追っ払ってくれたし。」
ジタバタするのをやめて、にっこりとオレを見て微笑む。
「すまん。」
情けなくて、もう一度謝る。
「もーいいってば！」
ネッ！って首を傾げて笑い、そっとオレの腕の中から出ていく。
その姿を視線で追う。
「それより！見て！」
「え？」
「今年、新しい浴衣なんだよ？似合う？」
くるっと１回転して、モデルポーズ？を決め、オレに聞く。
話題を変えておどけてみせる、そんなの優しさにオレは泣きそうになる。
あんまり可愛いから、オレは……。
「はいはい。ほな、花火始まるから行こか？」
モデルポーズ？で止まっているを抱えるようにして、無視して歩き出す。
「無視かい！」
いつものオレのセリフをが言う。
２人、笑いあいながら、花火会場に向かった。
最初の花火があがる。
それを見つめるのキラキラした瞳。
綺麗な横顔に見惚れながら、つぶやく。
「めっちゃ、綺麗やで。浴衣もよう、似合ってる。」
「え？何か言った？」
オレを振り向き、笑顔で尋ねるが隣におる。
こんな瞬間をすごく大切やと思う、そんな気持ち。
今まで知らんかったな……。
ＥＮＤ
4000HITありがとう。碧さんへ
(C)KanoNakaizumi‘Lemonade’
■ 花野の言い訳 ■
どう和馬を絡ませたらいいのか？和馬がセカンド？になってしまった私は悩みました。(笑)
しかも、何が夏？？無理矢理に！！夏！！という結果に……。
ごめんなさい！しかも、題名も壁紙も本当に考えられなくて…。
ああ、なんかもっとピッタリのがあると良かったんだけど。
4649のリクはラブラブ！ということなので、そっちで出来る限り頑張りますね。
2004.7.15 花野