キリリク4649

なぁ。

オレはジブンの特別になれてないんか？

去年も一昨年もアイツに誘われて、一緒に見に行った。

アイツにマジに惚れてるって自覚する前から、

他の子のようには、気軽にデートに誘えんかった。

だから……

オレはまだアイツをデートに誘った事がないんや。

最近、アイツは色んなヤツと出かけてるって噂を聞くようになった。

その中でも鈴鹿や！

一緒におるとこ、よく見かけるんや。なんでや？？

今度の日曜日は……。

お昼休み。

オレはアイツを探していた。。。

「そう言えば、もうすぐ花火大会だよなぁ。」

「うん。そうだね！」

階段の踊り場から、話し声が聞こえた。

オレはとっさに隠れて、その会話を聞いたんや。

鈴鹿と……だったから……。

「、お前、今年も姫条と見に行く予定なのか？」

「え？…………どうして？」

ちょっと戸惑うようなの声。

そうや。今度の日曜日は花火大会や。

去年も一昨年も、もうとっくにから一緒に行こうって、

誘われてたんや。せやけど、今年はまだや。

もう誰か他のヤツと行くことに決めたんやろか？

オレは情けない！思いながら、聞き耳を立ててしもた。

「どうしてって。去年、駅で会っただろ？」

「あぁ、姫条君待ってる間、鈴鹿君に助けてもらったね。あの時はありがとう。」

「おお！そんな事は別にいいんだけどよ。」

「…………」

「で？今年もそうなのか？」

そないなこと、なんで鈴鹿が気にするんや？

やっぱり鈴鹿は……。

「ううん。今年は行かないかもしれない。」

え？なんやて？

「そうなのか？別のヤツと行くのか？」

「そうじゃないけど……。」

顔が見えないけど、なんや沈んだ声。。。

やっぱりオレを誘う気なかったんか？

「なんだよ。どうしたよ？元気ないじゃんか。姫条のヤツ、用事でもあるのか？」

「え？ううん。今年、誘ってないから……。」

「そ、そうなのか？」

驚いたような鈴鹿の声。

「う、うん……。」

オレはその後、どうやってその場を離れたのか覚えてへん。

あんまりにショックやったから。。。

「私……姫条君に一度も誘われた事、……ないんだ。

ちょっと前に他の子が姫条君から誘われた事があるって話を聞いてね。

今まで気にしてなかったんだけど……私、誘われた事ないんだなって思って……。

そしたら、もしかして私って強引で迷惑だったのかもって。

他に誘いたい子がいたかもしれないのに、

私が誘ったから付き合ってくれたのかもって……。

そう考え始めたら、何か誘えなくなっちゃって……。」

いったいどんな顔して、は鈴鹿に言ったんやろか？

オレは……。何やってんのや？？

ジブンから誘って断られたら、引かれてしもたら……

そう思うと不安やった。だから誘えんかった。

に甘えとった。

の不安なんか考えもせんで。

オレはもうアイツだけやって思ってたんやないんか？

アイツ悲しませてまでカッコつけたいんか？

そうやないやろ？？

あの後、鈴鹿はを誘ったんやろか？

もし！そうだとしても！！

オレはを誰にも渡しとうない！

好きやとは言えんかもしれへん。

せやけど！！

その日の放課後。

断られるかもしれん。

それでも！！

オレは、に会いに行った。

「先輩！！」

「あ、日比谷君！どうしたの？」

げ！日比谷？邪魔すんなや！！

オレより先にに声をかけよって！

「あの、先輩。今度の日曜日なんスけど……。」

「え？」

「あの、一緒にッスね……」

次の言葉を日比谷が言う前に、

「ジブン、悪いんやけど、今度の日曜日、コイツは予約済みや。」

オレは日比谷との間に割り込み、を俺の背中に隠す。

「き、姫条君？？」

の驚いた声。。。そうやな。なんや？話すの、久しぶりや。

「き、姫条先輩！？」

「おぉ。コイツはオレと出かけるから、ジブン諦めてくれ。悪いな。」

にっこりと笑って、日比谷を追い返す。

「し、失礼しましたッ！」

日比谷が見えなくなるまで見送った後、

ドキドキしながらに向き合う。

俯いてるが小さい声で何かつぶやいた。

「え？なんや？聞こえへん。」

「…………」

「？？」

顔を覗き込もうとした瞬間、キッと睨みつけるような

の視線と出会う。

「私、姫条君と出かける約束なんかしてない！」

今にも泣きそうで、怒ってるんやけど、困惑した顔やった。

「すまん。誰かともう約束してしもたか？」

と目が合わせられず、頭を深く下げる。

「え？姫条君？」

オレの行動にびっくりしたんか？

が戸惑った声でオレを呼ぶ。

恐る恐る顔をあげて、を見つめる。

「。オレと一緒に花火大会に行ってくれ。」

「え？」

一瞬びっくりした顔をした、次の瞬間。

ふわぁ～っと笑顔になり、

「うん！行く！」

そう即座に答えてくれたんや。

クラッとする程の可愛い笑顔だったもんやから、

思わず抱きしめたくなったけど、グッと我慢した。

もしかしてオレを待っててくれたんか？

オレは、なんや、天にも昇る気持ちやった。

その後……

はオレが本当は迷惑やったんじゃないかとか、

他に誘いたい子がおるんやないかとか、

色々考えて遠慮してたんやいうことを話してくれた。

せやけどな……。

「良かった！私だけが姫条君の事、友達だと思ってるのかと心配してたんだ！」

明るい笑顔でそう言われてしもた……。

ちょお、待ってや！

なんでそない、鈍いんや！？？？

やっぱり、まだ気づいてくれてないんか？

わざとじゃあらへんよなぁ？？

オレがはっきり言わな、ずっと「友達」なんやろか？

それとも、はっきり言ってしもたら……

「友達」も壊れてしまうんか？？

せやけど……

今度の日曜日は、３度目のとの花火大会。。。

来年も再来年も一緒に行けるように……

オレも覚悟決めなあかん！

そういうことなんやろな……。

ＥＮＤ
4649HITありがとう。碧さんへ
(C)KanoNakaizumi‘Lemonade’

花野の言い訳
4649のリクはラブラブ！！なはずだったんだけど……。
うわぁ～ん。もうひたすら、ごめんなさい！(土下座！）
4000書いてから、4649と思う前に次の碧さんのリクが来たので、
気分がまだラブラブまで達してくれなくて！(何だそれ？）
4000が2年生の花火大会で4649が3年生の花火大会！！
1年後の続き物ということで、書きたくなってしまいました。
5963はその続き！で今度こそ、ラブラブさせますので！！
これ以上待たせられないし、これ書かないと進めなくなってしまったので、
ご勘弁を～～～。
ちゃんとリクに答えられるよう、日々努力します。(涙)

2004.8.23　花野