課外授業！？



「、今度の日曜日は空いているか？」

放課後の昇降口でのことだった。

あいつを誘おうと待っていた俺は、誰かに先を越された。

「氷室先生……。」

え？氷室？？？

「はい。特に予定はありませんけど。」

がそう答えている。

「うむ。ビリヤードの講義を行おうと思う。」

！！！

「分かりました。」

「では、午前10時。駅前広場集合だ。」

「はい。」




氷室がを誘った……。

もそれをＯＫした。

講義？集合？２人でか？

デートの間違いだろう？？

俺は……いてもたってもいられない気持ちで、その場を離れた。





日曜日……。

「あ、葉月く〜〜〜ん！！」

わざとに気づかれるように、俺は午前10時前から駅前広場にいた。

「何だ、お前か……。どうした？」

「あ、うん。これから課外授業なの！」

課外……授業？？

本気……か？

何の曇りもない笑顔で俺を見つめている。

…………。

本気……なの……か？

「葉月君。これから仕事？」

「いや……。」

パァ〜との顔が輝いた……気がした。

「じゃあ！葉月君も一緒に行かない？」

なっ！

デートじゃないのか？？？

教師と生徒だからデートという単語を使わないだけじゃないのか？

驚きを隠し、平静を装う。

「べつにかまわない……。」

もともとそのつもりだったし……な。

「本当！？」

本当に嬉しそうに喜んでいる。

俺はすごく嬉しいが、氷室はどう思うだろう……。

でも俺は、がデートと認識せず、

俺を誘ってくれた事実にものすごく喜びを感じていた。




「なっ！」

何故、あそこに葉月が一緒にいるんだ？

……あんなに嬉しそうに……。

私はどうすればいいと言うのだ？

「あ、氷室先生！」

出て行っていいものかどうかと悩んでいる間に見つかってしまった。

「うむ。おはよう。時間通りだな。」

平静を装う。

「はい。先生。葉月君も課外授業参加希望です！」

な、なにぃ〜〜〜〜〜！！

付いてくるのか？付いてくるつもりなのか！！

愕然としながらも……

「大変結構。意欲的な事はとても感心する。」

そう言う以外あるまい？これは課外授業なのだから……。

に答えてから葉月を見る。

「……どうも。」

バチバチバチッ！火花が散った……。そう感じた。




「では、ビリヤードの講義を始める。」

は前回に比べるとまだマシになってきてはいるが、まだまだ上手くはない。

ナインボールをやりながら、次の球をポケットするにはどうすべきかと話す。

は熱心に聞き、葉月はじっと見ている。。。

それにしても……葉月は上手い。

がキャーキャーと騒ぐのも分からなくもない。

「あ〜〜。」

「なんだ？」

「どうした？」

私と葉月がの悲鳴のような声に同時に反応する。

「だって、こんなの次何処をどう狙えば？」

ふむ。どう教えるか……。

「狙った所で当たらないだろう？」

「あ、ひっど〜い。その通りだけどさぁ〜」

二人は楽しげに笑い合い、言い合っている。

ムッ……

「いや、ちゃんと物理で計算し、ここからあの球を狙うには……」

に説明しようとする私の背後からボソッと葉月が言う。

「数学の教師なのに、なんで物理の課外授業なんだ？」

グッ……

言葉を失った。


「先生？どうしたんですか？」

きょとんと私を見つめるにハッとする。

「あ、いや。別に……。」

気を取り直して講義を続ける。

やはりは上手く出来なかったが……。



同じような配置で順番が回ってきた葉月は、私の講義とは違う方法でポケットする。

「わぁ〜〜。すごい。葉月君。」

「どうも……。」

うむ。確かに鮮やかだった。が、しかし、何故あれで入るのだ？

「先生の講義とはまた違ってたね！」

楽しそうに話す。

「そう……だな。」

ム……。私の言う通りでも入るに決まっている！

「確かに鮮やかだった。が、しかし！！」





「あれ〜〜？ちゃん！どうしたんや？」

「あ、姫条君。鈴鹿君！」

「何だよ？お前一人なのか？？？」

「ううん。葉月君と氷室先生と一緒なんだけど……。」

私が振り向いた方向に2人が視線を送る。

「なんや？何の集まりや？」

「課外授業。ビリヤードの講義……。」

「何だよ。休みの日まで氷室と一緒に勉強かよ！」

心底うんざりしたように鈴鹿君が言う。

「でもなんや？もめとるのか？」

「そうじゃないの。葉月君と先生の打ち方違うんだけどね。

先生は葉月君のやり方で入るのに納得出来ないみたいで。」

「「はぁ〜？？」」

二人がハモる。

「先生が一人何かムキになってるみたい。」

私の存在、忘れてるよなぁ〜。どうしよう？そう思ってたんだよね。

「取り残されたっちゅー顔やな。」

姫条君がにこにこと私に尋ねてきた。




「ん？」

「何？どうかしたのか？葉月。」

「がいない！！！！」

「な、なにっ！？？」

いつからだ？

いくら氷室があーでもない。こーでもないと騒いだからと言って、

俺があいつの事を放っておくなんて！

辺りをキョロキョロ見回す。

氷室も焦っているようだ。

「ん？」

一際騒がしい一帯があった。

あの背が高くて目立っている関西弁は……。


「あ、葉月く〜〜ん。」

俺の視線に気づいたのか、姫条と鈴鹿と一緒にいるが立ち上がった。

パタパタと俺に近づいてきて、顔を覗き込むようにして言った。

「先生との談義終わった？」

！！………………

姫条も鈴鹿も氷室も集まってくる。

「駄目やないか。葉月もせんせも！ちゃん、ほったらかして。」

「そうだぜ。すっごい暇そうだったぜ！」

「一緒にボーリングやって待ってたんだよねぇ〜。」

姫条と鈴鹿に向かって、楽しそうにも言う。

ムッ……



「そ、そうか、それはすまなかった。」

氷室は珍しく焦りながら言った……。




なぜ、こんな事になったのだ？

私はにビリヤードの講義をしに来たのだ。

それなのに、に教えるどころか、葉月のプレイにムキになり、

しかもその現場を姫条や鈴鹿に見られたあげく、

今！一緒にボーリングをやってる……。

この私が！！こんなにも計画を乱されるとは！




「先生、今日はありがとうございました。」

はにっこり笑って、葉月と一緒に帰っていく。

チクリ……。

この胸の痛みが何なのか……。

何故、だけを課外授業や社会科見学と称して誘うのか……。

さっきのあの、恥ずかしそうな笑顔のを見てしまってから、

チクリチクリと胸が痛い…。

私はに対して、良い先生で有り続ける事が出来るであろうか……。

私は何を望んでいるのだろう……。




会計を済ましていると背中越しに聞こえてきた会話…。



「ねぇ、葉月君。今度は二人でビリヤード来ようね。」


「あぁ。…俺、ビリヤードの教え方…教えて貰ったんだ。」




ＥＮＤ
7777HITありがとう。がちゃさんへ
(C)KanoNakaizumi‘Lemonade’



花野の言い訳
もう本当にすっごくごめんなさい！！！
すごくすごく待たせた上、何が言いたいんだか！！
がちゃさんのリクを聞いた時、もうこれしか浮かばなくて、(正確にはもっとギャグだった）
頭の中を話が漫画で展開してました。(笑)
甘いのを書きたい！って思ったので封印しようと他で考えようとしたのですが、
もうこれを吐き出さないと次が何も浮かばなくって！
ごめんなさい……。
補足……ビリヤードって物理で計算した通りに結果が出るから好きと
ドラマＣＤで王子は語っています。（語りなのか？）
物理は放棄した私なので物理の計算はその方法が1つしかないのかどうか、分かりません。
よって、先生と王子の計算方法が違う事はあり得ないかもしれませんので、
その辺の突っ込みはご勘弁下さい。
とりあえず押し付けます！（おい）

2005.2.1 花野

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