新学期
「うわぁ、やべぇ。遅刻しちまう〜。」
今日からはばたき学園高等部何とか３年に進級した俺。
かなりヤバかったけどな。これもみんなのおかげだ。
どう考えてももう遅刻の身なんだけれども、通学路をひた走る。
朝から、俺はどうかしている。
いや、正確には昨日の夜からだ。
今まで、こんなにドキドキしたことあったか？
まいったぜ。
そんなことで寝付けないなんてよ。
キーンコーンカーンコーン････
校門はやっぱり閉まっている。
仕方ない、よじ登ろう。そう思った瞬間。
「鈴鹿。」
「うわぁ。」
あやうく落ちそうになった。
「な、何だよ。氷室先生かよ。脅かすなよ。」
「脅かしてなどいない。」
冷ややかなその目。
そうだよ。遅刻だよ。何だよ？
「鈴鹿。君には最高学年だという自覚がないのか？」
うんぬん。続く説教。
「あーはいはい、でも氷室先生。授業始まっちまうぜ？いいのかよ？」
「私としたことが！･･･よろしい。続きは放課後進路指導室でだ。」
「げ！」
まだ続くのかよぉ。心底うんざりした俺だった。
気を取り直して歩き出した俺に、氷室先生が言った。
「鈴鹿。君はＡ組だ。早く行きたまえ。」
「はぁーい。」
Ａ組･･･か。
３−Ａ
遅刻した俺はクラス替えの発表を見損なった。
つまりこのクラスに誰がいるのか分からない。
そんなことでドキドキするなんて･･･。
「鈴鹿！何をしている！早く入りなさい。」
背後から突然声をかけられて、飛び上がるほどびっくりする。
どうしてこの先生は、気配もなく近づいてくるんだよ！
「氷室先生、脅かすなよ。」
「いいから早く席に着きなさい。」
「あ、はい。」
ガラッとドアを開け、部屋に入っていく。
げ！ということは氷室先生が担任？
マジかよ？そりゃねーだろう！
どっぷり真っ暗な気分になって、俯いて入っていく。
「おお！鈴鹿！新学期早々遅刻やなんてなぁ！」
うん？その声は･･･。
「姫条！お前も同じクラ･･･」
！！！！！
同じ補習なヤツが一緒ならまだマシだと思って顔をあげると、
一番後ろの窓際。そこには姫条の隣で微笑むがいた。
「す・ず・か君！何が同じ蔵やねん！」
「ち、ちげーよ。」
昨日から眠れない原因がそこにいたから、びっくりしちまったんだよ。
「いいから、席に着きたまえ。」
氷室に睨まれ、えっと何処に座ればいいんだ？とクラスを見回す。
「鈴鹿。自由やっていうから、お前の席隣に取っといたぜ。」
「ああ、サンキュウ。」
そう言って姫条の指した机は、姫条の隣だ。どうせならお前の隣じゃなくて、の隣を取っておけよな！
なんて思ったけれど、そうだよな。姫条がの隣を他に渡すなんてないよな。
姫条はどうやら、かなりを気にいっているらしい。
何でも女遊びを止めたとか･･･。
俺はと３年は同じクラスになりたいと思ってた。
今までは別に誰と一緒だろうと気にしちゃいなかった。
でもこの２年間。
クラスも部活も違うのに、と出かけたりしているうちに、
ともっと一緒にいたいと思うようになってた。
こいつといると、自分になかった大切な物が分かってくる気がした。
こいつといると、独りよがりなだけだった馬鹿な自分が見えてきた。
この気持ちが俺には何だか分からない。
でも････。
「鈴鹿君！１年間よろしくね！」
にっこりとが笑う。
「あ、ああ。よろしくな。」
姫条がちょっとムッとした気がした。
でもまーいいか。
「姫条は、またよろしくな。」
「はいはい。３年間も補習コンビと呼ばれんようにしたいわ。」
「それは、こっちのセリフだっっつーの！」
くすくす笑う･･･。
何だか楽しくなりそうな予感がするぜ！
教壇では氷室先生が盛大にため息をついてた。
ＥＮＤ
999HITありがとう。
まつるさんへ
(C)Kano Nakaizumi‘Lemonade’
花野の言い訳
まつるさんからのリクは、「季節は春で！視点は、鈴鹿くん。今度はラブラブでなくても、友好でもいい。
対主人公ちゃんでなくても、例えば補習コンビでも、先生でもいいです。」というものでした。
思いっきり、ゲ！と思った私ですが、いつもいつも来てくれているまつるさんに感謝を込めて、
ええ、頑張りましょう！！と気合入れたんですけれど･･････。
季節指定をすっかり見落としていて、６月位で書き始めてしまった為、ガガーン！
急遽書き直し。ありきたりなんですが･･･やっぱり春！といえば、新学期！クラス替え！となりました。
ごめんなさ〜い。その代わり？主人公ちゃんも姫条君も先生も一応出したので許してください。
999番リク申請してくれたまつるさんのみ、お持ち帰りＯＫということで。
押し付けますので、貰ってください！
2004.3/9 花野
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